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2004年04月01日

オープンハードウエア

  オープンハードウエアという新手のビジネスを米IBMが始めた。Powerアーキテクチャは、現在のところ、日立製作所製スパコンSR11000シリーズに採用されているが、これをオープン化しているようだ。

科学技術計算の新たな地平を拓く新世代テクニカルサーバ
日立、POWER4+プロセッサーを搭載した科学技術計算向け高性能コンピューターを発表

オープンハードウエアに進むIBM Powerアーキテクチャ、Sonyにもライセンス

 米IBMは、ニューヨーク市でPower Everywhereというプレスイベントを開催し、Powerプロセッサアーキテクチャの普及促進を目的としたオープン・コラボレーションという新たな取り組みを説明した。
オープン・コラボレーションには、Linuxに代表されるオープンソースのアイディアを取り込んでいる。「よりオープンな標準プロセッサアーキテクチャを提供し、顧客が必要とする通りのチップを作れようになる」。
Powerプロセッサアーキテクチャの基本的な命令セットなどはIBMが管理するが、プロセッサ技術をより幅広く顧客に公開し、Powerアーキテクチャ・コミュニティとしてベンダーと共同開発を進める。ベンダーが必要に応じて柔軟に手を加えられるようになるため、「プロプリエタリなプロセッサアーキテクチャの制限からメーカーは開放される」と説明する。

 アーキテクチャをオープン化することで、アーキテクチャの普及による寿命の引き伸ばし及び新たなイノベーションの可能性拡大ということを見据えたしたたかな戦略が読み取れた。

2004年03月16日

InnovationからRenovationへ

 SW's memo経由で以下の記事をみつけた。

InnovationからRenovationへ

Oracleの元社長・Ray Laneのインタビュー記事です。

IT業界の未来については、世間には大きく二つの見方があるのではないかと思っています。一つは、「IT Doesn't Mater」、つまり、ITは既にコモディティ化しており、技術そのものがユーザー企業にとっての優位性をもたらすものではなくなった、という見方。もう一つは、いやいや、まだまだITが解決できるビジネス上の課題もあるんです、という見方です。


IT業界で働く私としては、後者の描く未来がやってくることを信じたいのですが、

Today, the post-bubble software industry is beginning to come around to Lane's way of thinking: Renovation, not innovation, is what's important.

に現れているように、どちらかというとITコモディティ化説に近い考えを持つLane氏のインタビューから、興味深いところをご紹介しつつ考察してみたいと思います。

The biggest challenge to him is in reorganizing his systems. Changing those systems is not easy. The more technology we have installed, the harder it is to change your business.

今日の企業の問題は、「システムを再組織化すること」であり、既にたくさんの技術を持っている企業にとって、システム・ビジネスのやり方を変更するのは大変なことだ、と、指摘しています。

Now, customers are looking for simplicity, integration and security across releases. They want standards-based software that doesn't require the labor expenditure of the past. Software CEOs have two choices: They can try to impose their proprietary methods on the market or they can adopt a new service-based approach to providing and maintaining software.

なので、顧客は、シンプルなものを求めている。このニーズに応えるために、ソフトウェア企業が取りうる二つの戦略−従来どおりの独自仕様・囲い込み戦略か、サービス・ベースのアプローチ−がある、とのこと。

この記事では、これ以上サービス・ベース・アプローチについて述べられていないので、彼の言わんとするところは推測するしかありませんが、2度目の波が来ていると言われるASPや、SOA (Service Oriented Architecture) 等が、それに相当すると考えられるでしょうか(実は、2004年のトピックとして、この二つは追うべきかな、と前から密かに思っていたんです。SOAは、私にとってはやや具体性に乏しい気がして、どう掘り下げたものか悩んでもいたのですが)。

 a new service-based approach to providing and maintaining softwareと言うのが今後のキーワードと思われる。グリッドや、Webサービス、ユーリティコンピューティングなど、製品アーキテクチャは、統合化する傾向があり、顧客が自分で導入やメンテナスを行うのには、いささか巨大なシステムであり、企業としては、サービス製品として、提供する機会が増大すると言いたいのだろう。

2004年03月04日

発展途上国のイノベーション

 梅田さんのblogで発展途上国のイノベーションについて書かれていた。実は、この論文は、前から気になっていて、目を通していたので、今回、先を越された感がするが、私なりの意見を書きたいと思う。

ビル・ゲイツは「コンピュータを専攻しろ」と言うけれど [梅田望夫・英語で読むITトレンド]

What Developing-World Companies Teach Us About Innovation(Harvard Business School: Working Knowledge)

「Innovate through technology」ではなくて、「Innovate around technology」でいく。「Technology push」ではなくて「Customer pull」で、顧客を中核に据えて、世界中に新しいアイデアを求めていく。世界中に求めていくアイデアには、先進的なIT活用事例も含まれる。イノベーションの源泉は「Product technology」ではなくて、ありとあらゆるビジネスモデル要素に、ITを中核とした新しいイノベーションを発想して実装していくことだ。

 この文章の前には、以下のような内容が書かれている。むしろ、こちらの方が重要であると思う。

 To be sure, companies in developing countries face serious challenges, including political instability, volatile exchange rates, and an underdeveloped physical infrastructure. More critically, they must contend with three realities that particularly stymie innovation:

1. Developing countries generally lack a solid technology base of trained scientists and world-class research universities.

2. Companies in developing countries must manage to eke out a profit while serving customers with low disposable income; per capita gross domestic product in the advanced economies is on average ten times that of developing nations.

3. Managers in these companies must often innovate on a shoestring budget, since the high cost and scarcity of capital preclude massive spending on R&D. As a result, they must innovate from other areas of their business's structure, including manufacturing, logistics, marketing, and customer service.

 確信をもって言うに、開発途上国の企業は、政治的な不安定、変動の激しい為替レートおよび低開発な物理的インフラなどの重大な問題に直面します。より核心をつけば、発展途上国の企業は、特にイノベーションを妨げる3つの現実と戦うべきである。

1. 一般的に、開発途上国は、教育された科学者および世界レベルの大学での研究室による強固な技術ベースを欠いている。

2. 開発途上国の企業は、低い可処分所得を顧客に提供する間に、利益の不足をなんとか補わなければならない。先進国の一人当たりのGDPは、平均して、開発途上国の10倍である。

3. 高いコストおよび資源不足が、R&Dにおける大規模な支出を妨げるため、発展途上国の企業のマネージャは、しょっちゅうわずかな予算でイノベーションしなければならない。その結果、彼等は、生産、物流、マーケティングおよびカスタマサービスなどのビジネス構造の他のエリアからイノベーションしなければならない。

 この状況は、中小企業にも当て嵌まると思われる。中小企業でイノベーションを起こすには大変参考になる論文ではないだろうか?

2004年02月29日

クリステンセン読書会

 クリステンセン読書会とは、SW's memoのSWさんが、FPNさんに持ちかけた企画−『イノベーションへの解』という本に関して、MLやこのFPNのプライベートフォーラムを活用したオンラインベースの読書会−です。
 丁度、1章目が終わる所ですが、様々な分野の方が参加されていて、大変参考になっています。MOTスクールへ通いたいなと思っていた矢先に丁度よい企画で大変感謝しております。

クリステンセン読書会

 この読書会に参加しようと思ったきっかけは、職場で、業務上の問題点をどのように改善するかということを考えているうちに、ソフトウェア工学に興味を持って、トム・デマルコ氏の本を読み漁っているうちに、プロジェクトマネージメントに興味を持ち始め、PMBOKやプロジェクトマネージメントの勉強を始めました。そのうちに、人のマネージメントとして、コーチング、ファシリテーションなどに興味を持ち始め、経営的なことに興味を持ち始めました。そこから、MOTやEA(BA)に広がっていき、その関連で、最近トレンディ(?)なイノベーションに興味を持ち始め、経営に関する本としてドラッガー氏の本を読んでいたこともあり、「イノベーションと企業家精神」を読んでいました。その延長で、「イノベーションへの解」を購入しようと思っていた矢先にグッドタイミングでこのような企画が有った訳で、願ってもないチャンスだと飛びついた(笑)訳です。このような、社外コミュニティとの接点を持つ事は大変良い刺激となっていて、私自身に大いにプラスとなっています。このような企画を立ててくださった、FPNのスタッフさんやSWさんに感謝したいと思います。(まだ、全部は終わっていないのですが、とりあえずきっかけを作ってくださったことに感謝)

2004年02月25日

クレイトン・クリステンセン

 イノベーションに関する理論はシュンペータが始め、更に、ドラッガーによって切り開かれた。ドラッガーの「イノベーションと企業家精神」で一躍、"イノベーション"が注目の的となった。しかし、これら理論は机上の抽象的な理論で、どちらかというと、イノベーションの有るべき姿の理論的な説明であった。
 それに対し、現在までの色々な産業におけるイノベーションのデータを収集し、分析し、より現在のイノベーションの本質に迫る理論が近年、発表された。この理論は米国ハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授が発表した“The Innovators Dilemma”である。この邦訳が、”イノベーションとジレンマ"である。この本の特徴は従来のイノベーション理論とは異なりより現実的であり、極めて説得力がある。

「このイノベーションのジレンマは従来のイノベーションに関する一般的な人々の認識を大幅に変えた。この著書にでてくる分裂型イノベーション(disruptive Innovation)こそ、新しい起業を生み、現存する優良企業に打ち勝ち、取って代わることが可能となるというものである。そのプロセスは平易な言葉で判りやすく解説している。」

…というものである。この書評によれば「分裂型イノベーション( disruptive Innovation)こそ起業の源泉」ということになる。
 以下は、クレイトン・クリステンセンの著作の本で、何れもオススメである。


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2004年02月14日

イノベーションの草分け

 最近、あちこちのブログでイノベーションが話題になっている。イノベーションとは、英語でinnovationと書き、「革新」とか「刷新」と訳されていているが、それだけでは、物足りないように感じる。藤田修司氏は、以下のサイトで『現在否定』と解釈している。なるほど、そういう意味としても受け止められる。

「イノベーション」とは「現在否定」のこと

 innovation(イノベーション)という言葉があって、これは「革新」とか「刷新」と訳されていて、要するに「何かを新しくする」という意味でよく使われていますが、ピーター・ドラッガーの本を読むと、この語を「現在否定」と訳してみたくなります。
 innovateの語源を分解すると、<in(にする)+nov(新しい)ate(動詞語尾)=新しくした→新しく取り入れる>となり、innovationはその名詞形です。

 イノベーションという言葉を最初に定義したのは、オーストリアの経済学者シュンペータ(1883
〜1950)である。これをクレアモント大学院大学教授であるピーター・ドラッガー氏が更に発展させたと言われている。ドラッガー氏の著作である、「イノベーションと起業家精神」には、イノベーションの源泉は以下であると書かれている。

(1)予期せざるもの
(2)調和せざるもの
(3)プロセス・ニーズ
(4)産業と市場の構造変化
(5)人口構成の変化
(6)認識の変化
(7)新しい知識
 
 要は、産業構造・価値観などの変化をトリガーとする受動的なイノベーションと今までの知識を結集したり、異なる知識を合体させたりする能動的なイノベーションがあるということである。こういった観点からして、『新事業創出のための革新』ぐらいか?現在は、イノベーションについて、更に本質的な洞察を為した本があるので、これは今度紹介したいと思う。

☆ 新訳 イノベーションと起業家精神〈上〉その原理と方法 ドラッカー選書


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