2004年02月03日

SUN vs Eclipse(IBM)

 Eclipseは、Javaで書かれた巷で人気のオープンソースの統合開発環境である。Eclipseは、もともとIBM社が4000万$で開発したものであるが、オープンソースコミュニティEclipse.orgを立ち上げ、寄付しており、オープンソースとなった。このEclipse.orgのボードメンバ(最高意思決定機関のメンバ)には、IBMをはじめ、日立、富士通など主要メーカーが名を連ねていたが、SUNは、参加していなかった。各社は、Javaの生み出し親である、SUNの協力が不可欠であるとの認識から、SUNへ参加の要請をしていた。

共通の敵のためにJava開発ツールで歩み寄るサンとIBM

 Javaソフト開発を簡単にすることを目指す2つのオープンソース戦略が,共通の敵であるマイクロソフトに対抗するため,歩み寄りを見せている。
 IBMが支援する「Eclipse」と,Javaを開発したサン・マイクロシステムズが始めた「NetBeans」という2つのオープンソース開発ツールプロジェクトはどちらも,開発ツールをリンクするために共通の構造を定義することで,Javaソフト開発をより簡単に行えるようにしようとするものだ。

 ところが、SUNは、自社開発のJava統合開発環境NetBeansを擁している。その関係上、OSSの統合開発環境であるEclipseには、協力することはビジネス上できなかった。

Sun、Eclipse参加を断念

 Eclipseに関するSunの今回の決定は、NetBeansとEclipseの技術的および組織的な違いを克服しようとすれば、両プロジェクトの現在の参加社に悪影響を与えかねないと判断したためだと、開発プラットフォーム部門副社長のリッチ・グリーン氏は説明する。
 「われわれは双方とも、自分たちの構成員を捨てることは望まないと決めた。コスト削減といったようなことよりも、コミュニティーの方が大切だということだ」とグリーン氏。

 Eclipse.orgは、実質上、IBMがコントロールしている状態であったが、今週開催予定の、EclipseCon 2004で正式にIBMから独立する予定である。

Eclipse、IBMから独立へ
Eclipseで新しい時代が幕開け

 Eclipseは、来週開催されるEclipseConカンファレンスで、設立したIBMからの独立を正式に発表することになっている。これにより、技術プロバイダグループやIBMのライバル企業がEclipseの役員会に参加して、方向付けに関わることが可能になる。
 IBMからの独立は、着実に影響力を拡大させているEclipseにとっては、重要な転換点となる。「IBMは以前の組織で持っていた権力を失うことになるだろう」とEclipseプロジェクトのリーダーで、ツールベンダー米Advanced Systems Conceptsでチーフ・アーキテクトを務めるディビット・オーム氏は言う。「(Eclipseは)ある意味でIBMを上回ることを目指してきた。これを実現させるためには、IBMは管理から手を引く必要があった」とオーム氏。。

 それに伴い、SUNの去就が注目されていたが、不参加の姿勢は変わらないようだ。依然としてIBMの影響力があることを懸念しているようだ。また、SUNは相互運用性を促進するために、Java Community Process(正式なJava標準化機関)およびJava Tools Communityへの参加をEclipseに呼びかけている。あくまでも、SUNが主導に立ちたいとの思惑があると見られる。

Sun、Eclipse不参加の姿勢変わらず
Sun、Java業界統一をEclipseに呼びかけ

 Eclipseは、日蝕という意味であるが、これは、SUN(太陽)を食って掛かるという意味にも受け止められるが、命名理由は、明らかにされていない。ただ、SUNが少しずつオープンになっていく姿勢は高く評価したい。

Eclipseの独立の裏にあるものは?
SunからEclipseメンバへの公開書簡


Posted by besus at 2004年02月03日 02:41 | TrackBack
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